面会交流の取決め方

面会交流とは

離婚して、現実に子供と生活をしていない親が子供と会って話をしたり、一緒に遊んだりすることを面会交流といいます。面会交流は、両親が話し合いで決めるのが最良です。平成23年の民法の一部改正で、協議離婚の際に父母が協議で定める事項として、「養育費の分担」と「面会交流」があること、これらの取決めをすることは子の利益を最も優先して考慮しなければならないことが民法に明記されました。

民法第766条1項
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子の面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

面会交流の頻度(回数)

厚生労働省の「全国母子世帯等調査」(2011年)によると、面会交流の実施頻度は月1回以上2回未満が最多です。離婚時に面会交流の取決めをした人は23.4%で、実際に面会交流を行っている世帯は27.7%であることをデータが示しています。

面会交流の実施状況 (厚生労働省「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」より)

面会交流の調停申立て

「別れた夫に子供を会わせたくない、その代わり養育費もいらない」という相談を受けることがありますが、養育費は子供が親に扶養される権利であって、子供に会わせないための対価ではありません。したがって、「養育費をもらわないから会わせなくてもいい」ということにはなりません。特に、子供が父親を知っているのに会わせないということは、子供からすれば、父親に捨てられたという感情を強く抱くことになり、子供の成長にも悪影響を及ぼすかもしれません。

また、「養育費はいらないから子供を会わせたくない」、「具体的内容について合意できない」といっても、元夫が家庭裁判所に面会交流の調停を申立てすれば、暴力が原因で離婚した場合を除いて、原則、家庭裁判所は面会交流を認めることになります。

面会交流を制限したい場合

面会交流を月に1回と取決めたにも関わらず、相手方が勝手に子供とそれ以上会ったり、あるいは子供を連れ去る恐れがあるときは、面会交流の制限を家庭裁判所に申立てることができます。面会交流が子供の福祉に反し、悪影響があると思われるときは、家庭裁判所は面会交流を制限したり、既に取決めている面会交流の内容を停止、取り消したり、面会交流の申立てを却下したりします。

子供が連れ去られた場合

親権者、あるいは監護者にもなれなかった父親(母親)が子供を連れ去った場合、母親(父親)は子供を取り戻すため、家庭裁判所に子供の引渡し請求の調停を申立てることができます。調停で合意ができず不成立になったときは、審判手続きに移ります。なお、子供を連れ去った側は、今後の面会交流に影響が及ぶと考えられます。