診断書は、傷病名、症状の経過・治療の内容および今後の見通し等について記載されている書面で、交通事故によって受けた負傷の内容が明らかになります。診断書は、診断時点の症状を記載するものであり、将来の見通しについての記載は、あくまでも、診断時点での医師の判断または意見であることに注意してください。
救急搬入などの初診時は、最も重篤な症状の記載が中心になり、軽度の傷害などは記載されないこともありますので、診断書は短期間ごとの取付けが望まれます。初診時の診断書に全治2週間と記載されている場合で、その後も治療を継続する必要があるときは、改めて事故後2週間を経過した時点の診断書を発行してもらいましょう。
項目 | 説明 |
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傷病者 | 被害者を特定するための記載です。 |
傷病名 治療開始日 治癒又は治癒見込日 |
医学上、認められた傷病名が記載されています。 通院期間の重複による損害の二重評価を避けるため、傷病毎に記載され、これに対する治療開始日と治癒又は治癒見込日を記載することになっています。 既に治癒した傷病については治癒日が、治療継続中の傷病は治癒見込日が記載されます。 |
症状の経過・治療の内容および今後の見通し | 患者の自覚症状の他、他覚症状(客観的所見)が記載されます。ここは、診断書を発行した日までの内容が記載されています。 複数の診断書が発行されるときは、最新の診断書に従来の内容すべてが記載されるケースや前の診断書発行後のもののみ記載するケースがありますので、これまでに発行された診断書との対比は必要不可欠です。 手術をした場合は、手術内容と実施日が記載されます。 |
主たる検査所見 | 実施された検査名とその結果が記載されます。 X-P、CT、MRI、MMT(筋力)、ジャクソンテスト、スパーリングテストなど、異常あり(+)、異常なし(―)と記載されます。 |
初診時の意識障害 | なし、ありが記載されます。 高次脳機能障害の発生には、意識障害の存在が必要とのことから、意識障害の程度、継続期間(日、時間)の記載がなされます。脳損傷などがあったことを裏付けるためには、この記載が重要になります。 |
既往症および既存障害 | なし、ありが記載されます。 交通事故との因果関係を判断するために記載されます。 |
後遺障害の有無について | なし、あり、未定が記載されます。 治療中は、ほとんどが未定とされます。 ただし、軽度の傷害の場合、早期になしと記載されることもあります。症状固定とされたときは、後遺障害診断書を記載してもらいます。 |
入院治療 | 入院していた期間が記載されます。 外泊した場合、診療報酬明細書にその旨の記載がなされます。 |
通院治療 | 初診から最終治療日までの期間が記載されます。 (複数の診断書が発行されるときは、月単位で記載されます。)重要なのは、傷害慰謝料や休業損害算定の基礎となる実通院日数(実日数)です。 |
ギプス固定期間 | 通院(在宅治療)であっても、ギプス固定期間は入院と同視されます。ただし、ギプスの種類により取扱いは異なります。 |
付添看護を要した期間 | 付添看護費算定の基礎となります。 原則、この記載がなければ、付添看護費は認められません。 ただし、幼児、小学生など、12歳以下の子供の場合は、記載がなくても認められます。 |
診断日 | 治ゆ、継続、転医、中止、死亡が記載されます。 中止とは、まだ治療が必要な状態であるが、患者の意向により治療を中止するということです。 |